【藤本健のDigital Audio Laboratory】クリエイティブ史上最強仕様のオーディオDAC「Sound Blaster X5」を試す!-AV Watch

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Sound Blaster X5(直販39,800円)

PCのサウンドカード市場において、デファクトスタンダードとして名を馳せたブランドに「Sound Blaster」がある。Sound Blasterはシンガポールに本社を置くCreative Technology社が開発する製品であり、国内では、Creative Technologyの日本法人であるクリエイティブメディアが販売を行なっている。

一言でSound Blasterといっても、いまは様々なラインナップの製品がそろっているのだが、先日新たに「Sound Blaster X5」というUSB接続タイプの製品が発売された。直販価格は39,800円。

写真の通り、ブラックボディのややゴツイ感じのデザインは、オーディオ機器っぽい風貌。しかも同ブランド初のデュアルDAC仕様、XAMPヘッドフォン バイアンプ×2基によるフルバランス設計で、バランスヘッドフォン端子も搭載。

PCMは32bit/384kHzまで、DSDも11.2MHzまでをネイティブでサポートするなど、これまでのSound Blasterとはだいぶ毛色の異なる機材となっている。おそらくここまで“オーディオ系”に寄せたSound Blaster商品というのは、シリーズ初ではないだろうか。

今回は、このSound Blaster X5が実際にどのような機材なのか試してみた。

フルバランス設計で、PCM 32bit/384kHz・DSD 11.2MHzサポート

Sound Blaster X5は、その型名から既発モデル「Sound Blaster X4」の後継のようにも見えるが、X4が最大7.1チャンネル出力、最大24bit/192kHz対応であるのに対し、X5はステレオ2chで、PCM 32bit/384kHz、DSD 11.2MHz対応となっており、機能的にも、そして見た目的にも全く異なるターゲットと考えてよいだろう。

実際、Sound Blaster X4はX5が出た今も併売されており、販路も異なる。Sound Blaster X4はリアル、ネット店舗含め、一般に流通しているのに対し、Sound Blaster X5はクリエイティブメディア直販限定となっている。

Sound Blaster X4

それでは早速、外観や接続端子などから見ていこう。

ちょっとゴツイ感じのボディは216×170×72mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約879g。フロント右側にはメインボリュームを調整するための直径45mmの大きなノブがあり、トルクはかなり重め。中央上にあるディスプレイは、青白く光る8ケタ・14セグのLEDで構成されており、加えてディスプレイを輝度を明るい・ダーク・オフから選べるようになっているのも、オーディオ機器としての使用を意識しているのだろう。

Sound Blaster X5

フロントには3つの金メッキ端子を備えるが、注目は一番右が4.4mm 5極のバランスヘッドフォン端子になっているという点。オーディオインターフェイスで、4.4mmバランス対応の製品はかなり珍しいように思う。真ん中の端子は一般的な3.5mmのステレオヘッドフォン出力で、左は3.5mmのマイク入力だ。

フロント部のヘッドフォン、およびマイク入力

リアは、左側にアンバランスのRCA出力とRCA入力、真ん中にS/PDIFのオプティカルの入出力、そして右にUSB Type-C端子を搭載。

このUSB-Cを通じてWindowsやMac、さらにはiOSデバイスにAndroidデバイス、そしてPS4やPS5などのゲーム機器とも接続できるようになっている。WindowsおよびMacと接続する場合にはフロントのメインボリューム左にあるスイッチを[PC]に、それ以外の機器と接続する場合は[CONSOLE]を選択する。

リア

フロント部にある[PC][CONSOLE]の切り替えスイッチ

そして、リアの一番右側には[USB HOST]なる、ちょっと不思議な端子がある。

最初は「USBメモリーを挿してWAVデータなどを再生するものなのかな?」と思ったのだが、そうではなさそう。クリエイティブメディアに確認したところ、USBオーディオクラスデバイス(最大5V/100mAまで)をサポート端子なのだそう。例えばここにBluetoothのドングルなどを付けることで、外部にBluetoothオーディオを飛ばす、といった使い方が可能になっているようだ。

USB HOST端子

簡単にケースの中を開けられる構造ではなかったため、基板を実際に見ることはできていないが、内部的にはフルバランスの設計になっている、とのこと。左チャンネル、右チャンネルそれぞれにCirrus Logic製DACチップ「CS43198DAC」を搭載し、その先にAB級動作のフルディスクリートXAMPヘッドフォン バイアンプを左右それぞれに置いている。下図を見ると分かりやすいと思うが、あまりオーディオインターフェイスでは見かけない、ピュアオーディオ機器的な設計になっている。

Sound Blaster X5にはWindows、Mac、iOS、Androidそれぞれに、「Creative App」というアプリケーションが用意されており、これを通じて、Sound Blaster X5内部のDSPなど各種機能のコントロールができるようになっている。

Creative App

簡単に紹介すると、まずサウンドモードというものがあって、ここにはゲーム、ミュージック、ムービーといったオーソドックスな設定から、バトルロワイアル、FPSなどの設定が用意され、それぞれに応じたサウンドが選べるようになっている。

サウンドモード

Acoustic Engineを選ぶと、ヘッドフォン、スピーカーのそれぞれでSurround、Crystalizer、バス、Smart Volume、Dialog+が調整できるようになっている。

Acoustic Engine

ほかにもイコライザー調整や、CrystalVoiceを使ってのサウンド明瞭化も可能。後者は、Noise Reductionで通話中の背景ノイズを消したり、Acoustice Echo Cancellationでエコーキャンセルの実現、Smart Volumeで叫んだり、ささやいたりといった音を聴き取りやすくするなどの調整が可能になっている。

イコライザー

CrystalVoice

Scout Modeは完全にゲーム用だが、足音などの環境音を聴き取りやすくできるようにする機能。利用するアプリケーションによってオンにする、という形のようだ。さらにミキサーがあり、どの音をモニターするのか、録音時の音量バランスをどうするかの設定も可能になっている。

Scout Mode

ミキサー

これら機能は、Sound Blaster X5内部にあるDSPを使うものだ。ゲームユーザーなどにとっては、嬉しい機能が多く搭載されている一方、ピュアオーディオのユーザーからすると、不要と感じられるものもあるだろう。

もちろん、そうしたユーザーのための機能も用意されている。ダイレクトモードというのがそれで、これをオンにすると、サウンドモードやイコライザー、CrystalVoiceなどが全て無効になり、USBからの音をダイレクトに出す状態にできる。何も加工しない音がそのまま出せるのは、オーディオのユーザーにとっては、嬉しい機能だろう。

ダイレクトモードを搭載する

なお、ヘッドフォンへの出力とスピーカーへの出力は同時ではなく、どちらにするかを切り替えて使う形。Creative App、またはフロントのHP/SPKボタンでも切り替えられるようになっている。

ヘッドフォン・スピーカーの同時出力はできない

スピーカー出力の表示

ヘッドフォン出力の表示

HP/SPKボタンを切り替えると、カチッ、カチッ、と内部のリレーが入る様子が分かるのだが、ヘッドフォン出力にすると、[ヘッドホン構成]でどのヘッドフォンを使うのかを選択できるようになっている。見たところ「AKG M220」、「Apple Earphone」、「Apple Earpod」、「audio-technica ATH-M50」、「Sennheiser HD201」「HD457」、「Sony MDR-1R」など、様々なヘッドフォンが選択できるようになっていた。

「foobar 2000」を使ってDSD再生を試す

Sound Blaster X5には、Windows、Macそれぞれにドライバが用意されている。今回Windowsで使ったのだが、MMEドライバ、DirectSoundドライバ、WDMドライバに加え、ASIOドライバも用意されていた。

その、ASIOドライバをよく見てみると……

・Creative SB USB RT ASIO
・Creative SB USB DSD ASIO

……という2種類のドライバが用意されている。

通常使うのは[RT]の方だが、DSDもネイティブでサポートされているようなので、「foobar 2000」を使って、ホントにDSD再生が可能なのかも少し試してみた。このfoobar 2000を使う場合、やや手順が煩雑になるが、しっかりネイティブ再生できることが確認できたので、その手順を簡単に説明しておこう。

まずはfoobar 2000の最新版をインストールしたうえで、[foo_out_asio.fb2k component]をインストールし、さらに[foo_input_sacd.fb2k componet]をインストールしていく。

さらに、[ASIOProxyInstall-0.9.4]および[WASAPI.fb2k-component]をインストールしたうえで、PreferencesのASIOの出力先に[foo_dsd_asio]を設定。

ASIO出力先に[foo_dsd_asio]を設定

最後にASIO Proxyのデバイス設定を、先ほどの[Creative SB USB DSD ASIO Device]に設定。実際試してみたところ、DSDもPCMもしっかりと再生することができた。

[Creative SB USB DSD ASIO Device]に設定

DSD再生も行なえた

RMAA Pro 6.2での音質性能チェックが……動作せず

本来であれば、いつものように、RMAA Pro 6.2を使ってSound Blaster X5の音質性能チェックを行ないたいところなのだが、実は前述のASIOドライバが、[RT]のほうも[DSD]のほうもうまく動作してくれなかった。ちょっと古いソフトだからなのだろうか、どうも正しく動いてくれないのだ。

という訳で、Sound Blaster X5の製品紹介ページの中に出力性能を測定したというグラフなどが示されていたので、紹介しておこう。

まずは24bit/192kHzでの0dBFSのサイン波使った周波数特性を見ると、このような形で、ほぼフルフラット、といってもいい結果になっていた。

続いて、サイレントノイズフロアは何も音を出してないときに、どの程度のノイズがあるかを計ったグラフ。これ見ても、-130dBf以下なので、かなり優秀だ。

そして、-20dBFSのサイン波を入れたときのステレオチャンネルセパレーション(ライト・レフト)が下図。このデータを見る限り、非常に高性能な機材のようだ。

以上、Sound Blaster X5について、ざっと紹介してみたが、いかがだっただろうか?

これまでのSound Blasterシリーズとは、だいぶニュアンスの違う機材のように思うが、PCでの高品位オーディオ再生を実現したい人にとっては、注目の製品といえそうだ。



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