“マウスとコントローラーどちらが優れているか”論がプロゲーマーの意見より過熱。『コール オブ デューティ』プロたちが参戦するも、議論に答えなし –

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“マウスとコントローラーどちらが優れているか”論がプロゲーマーの意見より過熱。『コール オブ デューティ』プロたちが参戦するも、議論に答えなし - AUTOMATON

あるプロゲーマーのSNS上での投稿が発端となり、一部海外コミュニティで論争が巻き起こっている。議論の的となっているのは、「シューター作品ではキーボード/マウス操作とコントローラー操作、どちらが優れているか」という命題だ。答えのない論争は、『コール オブ デューティ』公式eスポーツおよび同作プロプレイヤーたちを巻き込む騒動に発展している。

今回コミュニティを巻き込む物議のきっかけとなったのは、著名ストリーマーDr Disrespect氏のTwitter上での発言だ。同氏は尊大な態度や悪言など、いわゆる“悪役”のような振る舞いを特徴にしており、『コール オブ デューティ』シリーズのプレイ配信などで人気を集める人物だ。2020年には活動の場としていたTwitchからBAN処分されるなど、何かと波乱の絶えないストリーマーでもある(関連記事)。同氏が9月22日、自身のTwitterアカウント上で投稿したのは「お前、エイムアシスト無しじゃ何もできねえだろ」というコメントだった。

一人称および三人称視点のシューターにおいては、ゲームパッドタイプのコントローラー利用時に敵への照準を助ける「エイムアシスト」機能がしばしば実装される。つまり、上述のDr Disrespect氏の発言は、コントローラーを使ってシューターをプレイするユーザーを挑発する一言だと見られる。同氏は常日頃から過激な言動をするため、ある種“平常運転”ともいえる投稿だ。しかし、同投稿をきっかけとして、議論はさらに過熱していく。

Dr Disrespect氏によるコントローラーユーザーへの悪口に反応したのが、『フォートナイト』プロプレイヤーのMyth氏だった。同氏はeスポーツチームであるTeam SoloMidに所属し、『フォートナイト』や『Valorant』などのタイトルに取り組んでいるトッププレイヤーのひとりだ。Myth氏は9月22日、自身のTwitterアカウント上で上述のDr Disrespect氏のツイートを引用。「俺が史上もっとも優れたFPSプレイヤーランキングをつけるなら、TOP10にコントローラー使用者は入れないね」と発言した。

Myth氏の発言は、シューター作品のプロシーンで活躍するプレイヤーが、コントローラーユーザーへの“悪口”に同調したと取れるものだ。Myth氏の発言は主にコミュニティおよび複数のプロプレイヤーからの批判を浴びることとなった。特に『コール オブ デューティ』プロプレイヤーからは多くの反応が寄せられている。Clayster氏およびKarma氏は、今回の騒動に反応してMyth氏の発言に異議を唱える旨のコメントをTwitter上に投稿。Crimsix氏はMyth氏へ直接批判のリプライを投じた。ほかにも枚挙に暇がない数の批判的な反応が、同作の著名プレイヤーなどから寄せられている。

『コール オブ デューティ』シリーズにおいてプロプレイヤーとして活躍し、eスポーツチーム100 Thievesの創設者でもあるNadeshot氏も、Myth氏に向けて意見をツイートしている。Nadeshot氏は投稿のなかで「“コントローラーでプレイしているから”という理由で最高峰のプレイヤーを中傷した時点で、あなたの意見は無意味なものになりました」としてMyth氏のコントローラー利用者に関する言葉を批判した。

また、『コール オブ デューティ』シリーズ公式eスポーツリーグである「Call of Duty League」公式Twitterアカウントは、発端となったツイートへのリプライとして「このツイートを“悪いね!”ボタンの変わりにしてね」と投稿している。つまり、公式リーグが明白にMyth氏の“コントローラー利用者批判”に対して異議を示したのだ。

「Call of Duty League」は2020年に、2021年からの同リーグプロチーム戦およびアマチュア向け大会について、コントローラーの利用を義務づけると発表した。参加選手たちはマウスとキーボードではなく、リーグから承認を受けたコントローラーで参戦する必要がある。コントローラー使用者の締める割合が多い『コール オブ デューティ』eスポーツコミュニティにとって、Myth氏のコントローラー軽視の言動は看過しがたかったのだろう。一連の騒動およびNadeshot氏の意見を受けてMyth氏は、発端となった自身の発言について謝罪し、Nadeshot氏の主張を全面的に認める声明を投稿している。

Myth氏の謝罪を経てもなお、海外一部コミュニティでは「マウスがいいか、それともコントローラーがいいか」という論争が過熱している。Twitter上では“マウス派”と“コントローラー派”それぞれのユーザーによる意見が多数投稿されており、両論が拮抗している印象だ。また、「どちらが優れているという論争自体が不毛」という意見も散見される。

こうした議論が勃発する背景には、対戦型シューターを遊ぶにあたってよく利用されるデバイスの変遷があると見られる。過去にオンライン対戦文化を広めたFPSゲームとしては、『Quake』や『Unreal Tournament』、そして『Half-Life』および同作のModである『Counter-Strike』などの人気作品たちが挙げられる。これらの作品は一部コンソールへ展開したものの、対戦機能については限定的な実装に留まっていた。また、当時のコンソール機ではインターネットへの接続のハードルが高かったことも、コンソール機によるオンライン対戦の普及を妨げた理由のひとつだ。

一方で、NINTENDO64で発売された『ゴールデンアイ 007』など、コントローラー利用によるオフライン対戦で人気を博した作品も存在した。しかしながら上述の理由により、対戦FPSプレイヤーはPCゲーマーに集中していた。必然的に対戦FPSプレイヤーは、PCでゲームに興じるマウスとキーボード利用者が主流だったのだ。

現在においては、コンソール機のインターネット接続機能は当時と比べると簡単に利用できる。対戦モードをもつシュータータイトルもマルチプラットフォーム化が進み、『Apex Legends』や『フォートナイト』などの人気作品が各プラットフォームにてコントローラーで遊ばれるようになった。コントローラーによる対戦シューターの遊戯が一般化したのだ。シューター作品におけるコントローラー利用者が増加したことで、「コントローラーが良いかマウスが良いか」といった論争も飛び出すようになった。

シューター作品においてマウスとコントローラーでは大きくプレイ感が違う。特によく取り沙汰されるのが、「エイムアシストの有無」だ。主に操作スティックの傾きで視点を調整するゲームパッド型コントローラーに対して、マウスでは緻密な操作が可能とされている。そのため多くのシューター作品が、コントローラー操作時に敵へ照準を合わせるのを助けるエイムアシスト機能を備えている。『Apex Legends』などのクロスプレイ対応タイトルでは、「エイムアシスト機能が有利に働きすぎる」などの意見が投じられることもある。こうしたマウスとキーボード操作の差異が、双方の“派閥”の分断と論争を招く理由のひとつとなっているのだ。

今回のMyth氏の投稿は、同氏への批判にとどまらず海外のシュータープレイヤーを中心に大きな波紋を呼んでいる。Twitter上ではリプライなどによって「どちらが優れているか」と言い争う様子も散見され、しばらく議論は過熱しそうだ。

しかしながら、使用デバイスの違いはあくまでも好みや環境の問題であり、ましてやプレイヤーとしての優劣が操作方法で決まることはない。作品によって有利不利が生じる点は考慮する必要があるものの、マウスとキーボード操作およびコントローラー操作にはそれぞれのメリットとデメリットが存在し、操作に要求されるスキルも違う。答えの出ない論争が今後どこに向かうのか、慎重に見守りたい。