『新すばらしきこのせかい』売上は、「当初の想定を大幅に下回る」結果に。ユーザー評価とのギャップ –

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スクウェア・エニックスは11月25日、2022年3月期第2四半期決算説明会概要を公開した。同説明会は11月5日に実施されたものであり、その資料がスクウェア・エニックスのIRページに公開されたかたち。その中で、『新すばらしきこのせかい』の売上が想定より大幅に下回っていることが明かされた

同説明会では、代表取締役社長の松田洋祐氏が、2022年3月期第2四半期について説明。売上高が1689億円、営業利益が291億円、そして経常利益が314億円であるとコメント。HDゲームについては、前年同期比で減収となったことを報告し、その理由のひとつとして「『新すばらしきこのせかい』についてはユーザーの評価は高かったものの、当初の想定を大幅に下回りました」と説明した。

『新すばらしきこのせかい』は、アクションRPGだ。PS4/Nintendo Switch向けには今年7月27日に、PC(Epic Gamesストア)向けには9月29日に発売された。舞台となるのは日本・渋谷。主人公のリンドウは渋谷を歩いているうちに、いつもと周囲の雰囲気が違うことに気付く。やがて、死神だと名乗る少女よりリンドウが「死神のゲーム」に参加していることを告げられる。バッジを使いノイズと呼ばれるバケモノと戦いながら、リンドウは世界に起こっている異変について調査していく。

『新すばらしきこのせかい』は、2007年7月にニンテンドーDSで発売された『すばらしきこのせかい』の続編にあたる。『すばらしきこのせかい』はスマートフォンやNintendo Switchに追加要素を盛り込んで移植されたが、新作としては実質的に14年ぶりとなるわけだ。メディアミックスプロジェクトとしてアニメも製作され、“すばせか”のリブートがかけられた2021年。しかしながら、新作のセールスは芳しくなかったようだ。

国内のランキングでいえば、ファミ通の週販チャートでは『新すばらしきこのせかい』初週売上は、PS4とNintendo Switch版あわせて2万8047本。ダウンロード版を除いた売上である。初代『すばらしきこのせかい』は、2008年9月時点で国内にて18万本売り上げたとスクウェア・エニックスが報告している(リンク先はPDF)。またNintendo Switch向け移植『すばらしきこのせかい -Final Remix-』の初週販売は1万4216本(ダウンロード版除く)であった。 ユーザーベースがそれなりにあることを踏まえると、ダウンロード版を除いた数字だったとしても、2万8047本という本数はやや静かに映る。

海外売り上げとしては、イギリスのパッケージ週販チャートでは、発売週に10位にランクイン。一時はアメリカのニンテンドーeショップやオーストラリアのPS Storeのベストセラーにはランクインしていることが報告されていたものの、それほど大きなインパクトは残せていなかった。

一方で同作の特徴として、メディアやユーザーからの評価が高いこともあげられる。レビュー集積サイトMetacriticのメタスコアは、Nintendo Switch版が82で、PS4版が80。ユーザースコアはさらに高く、Nintendo Switch版が8.5で、PS4版が8.4。国内のレビューを見渡しても高評価なものが多く、プレイしたファンに愛されているのは間違いないだろう。

ゲームとしての質も高い。前作では2Dベースだった世界を3Dへと進化させつつ、世界観や戦闘などユニークさは引き継ぎ。シリーズの魅力はそのままに、現代的かつ立体的に仕上げているわけだ。開発チームも、『すばらしきこのせかい』オリジナルや移植版のスタッフを起用。『すばらしきこのせかい』シリーズを理解したスタッフが、丁寧に作り上げた続編になっているのだ。

一方で、その愛の強さが入りづらさを生んでいる可能性もあり。というのも、『新すばらしきこのせかい』は、前作未プレイのユーザーでも入っていけるものの、過去作へのリスペクトが強いがゆえに、前作を知らなければその魅力を余すことなく感じることができない。前作と新作を両方プレイしたユーザーならば、前作のプレイを薦めるだろう。新作の魅力を隅々まで味わってほしいからだ。逆にいえば、新作からプレイすることを薦めづらい。それほど、前作への愛が新作には詰められている。

PRとしては新規をウェルカムしているものの、両作を知っているファンは、まずは前作を履修することを薦めるだろう。新作の出来がよく、過去作リスペクトが素晴らしいがゆえに、新作からプレイすることは推奨されず、新規ユーザーにとって障害になっている可能性はありそうだ。Nintendo Switch向け移植版の無料トライアルが開放されるなど、前作向けのキャンペーンも実施されているが、それでもやはり敷居は低くない。新作の売り上げが芳しくなければ、シリーズとしても新たな展開はしづらいだろう。『すばらしきこのせかい』の今後はいかに。

※ The English version of this article is available here