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金曜日, 10月 30, 2020

サッカーゲーム『FIFA 21』の選手能力値に対して、スター選手たちから非難轟々。インテルのルカクにいたっては、EA陰謀論を唱える |

Electronic Artsは9月11日、『FIFA 21』におけるレーティングトップ100プレイヤーを発表した。『FIFA』シリーズでは、選手の各能力に数字がつけられている。そしてそれらの能力はOverallという総合的な数字に換算され、そのOverallレーティングのトップ100が今回ゲームの発売に先んじて公開されたわけだ。トップ3にはリオネル・メッシにクリスティアーノ・ロナウド、ロベルト・レバンドフスキらが名を連ねている。しかし、こうした数字に納得いかない選手たちが、SNSにて声をあげているようだ。

もっとも怒っているのが、イタリアのインテルナツィオナーレ・ミラノ(以下、インテル)に所属するロメル・ルカク。同選手は、能力値が公開された11日にTwitterにてフラストレーションを爆発させていた。

「ぶっちゃけると、FIFAは選手に不満を言わせてゲームの宣伝を増やすために、わざとひどいレーティングにしていると思うんだ。そうはいかないよ」

ルカクのレーティングは85。トップ100入りも果たしており、さほど悪くないように見える。しかし怒りには理由があった。というのも、昨季インテルに移籍したルカクは大きな活躍を見せたのだ。守備が強固でゴールを決めづらいとされているセリエAにて、23得点を記録。得点王ランキングとしては、インモービレとクリスティアーノ・ロナウドに次ぐ第3位だ。

くわえて、持ち味であるポストプレーにて前線の起点作りに貢献。インテルの2位フィニッシュの立役者となった。にもかかわらず、前年発売された『FIFA 20』と変わらぬレーティング85をつけられ、怒っているのだろう。マンチェスターユナイテッドにて思うように活躍できなかったシーズンと、同じレーティングをつけられることに納得いかない気持ちは理解できるかもしれない。

ルカクが語るように、レーティングに納得できないと不満を呈する選手たちは後をたたない。マンチェスター・シティのセンターバックであるアイメリク・ラポルテは、『FIFA 21』にてレーティング87という数値を獲得。こちらもDFとしてはかなり高いが、彼が注目したのはレーティングではなく「PACE(足の速さ)」の項目。Twitterにて「自分のPACEが63だと知った時の顔」とジョークをまじえたリアクションを投稿している。

またリバプールのサイドバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドもまた、BBC SPORTの取材を介して自身の能力にリアクション。21歳のサイドバックにしてレーティング87を獲得したことに喜びつつ、決定力については不満げ。ディフェンダーとして4ゴールを決めながらも、66という低評価になったことに対して「僕が背番号66だから、同じにしたんじゃないかな」とおどけた。またアーセナル所属で前シーズンと同じく22ゴールを記録したピエール=エメリク・オーバメヤンは、前年に比べてレーティングが1下がった87になったことに対して、絵文字を介して悲しみを見せている。

『FIFA』シリーズなどを開発するEA Sportsブランドでは、25人のプロデューサーと400人のデータ考察スタッフにて、常に選手の評価を見極め続けているという(Goal)。また最近ではレーティング・コレクティブなるプログラムが立ち上げられており、前述した専門家だけでなく、ユーザーが選手の能力値決定に関与できるシステムが構築されつつある。最近の『FIFA』シリーズは選手能力値をひとつのプロモーションとして使っており、それだけにレーティングについて力を入れているようだ。

しかしながら、すべての選手を幸せにすることは不可能。リーグやチームがEAと契約しているとはいえ、勝手に能力値を決められ、それによって自分の能力が不適切に評価され、その数字が公然になることで印象付けられるとなれば、選手としてフラストレーションは溜まるだろう。そもそもサッカー選手の能力を数字化するというプロセスは、データに基づいているとはいえ、主観性と切り離せない。どのように決定したとしても、納得いかない部分は出てくるのだ。

こうした能力値への不平は継続的に出ており、数多くの選手が自分の能力値について不満を見せてきた。しかし今回のルカクによる、不満を表することで『FIFA 21』のプロモーションになるという点も、なかなか鋭い指摘である。EA Sportsは不適切な評価をすることでも、恩恵を受けられるのではないかと言っているのだろう。『FIFA』シリーズは世界中のゲーマーが遊んでおり、彼らが能力値をその選手の価値と認識することは不自然ではない。レーティングの重要度が増すほど、選手たちの不満はよりシリアスになっていく。たかがゲーム、されどゲーム。『FIFA』シリーズが及ぼす影響力のリスクを示した一例だと言えるかもしれない。


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