米中軍事衝突、台湾の離島から始まるリスク-中国の「危険なゲーム」 – Bloomberg

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台湾の防空識別圏(ADIZ)に15日侵入した中国軍機は28機と、1日当たり数としては今年最も多かった。13日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)の宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛り込まれたばかりだった。

  爆撃機や戦闘機、偵察機が中国沿海部から東進し台湾の南端付近に向かったが、台湾が実効支配している東沙(英語名プラタス)諸島を目指した中国軍機もあった。台湾国防部(国防省)が詳細なデータを公表し始めた昨年9月16日以降、中国機は平均週1回のペースで東沙諸島に近づいている。

  台湾よりむしろ香港に近い小さな離島が、中国人民解放軍が将来展開し得る台湾侵攻作戦の上陸地点になるのではとの観測が浮上しつつある。

Crowded Airspace

China’s military patrols have focused on a few areas near Taiwan

Sources: Taiwanese Ministry of National Defense, data compiled by Bloomberg


  南シナ海に浮かぶ東沙島には海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)の職員ら約200人が駐在。台湾軍は東沙諸島の防衛に自信を示すが、台湾本島からは400キロ以上の距離がある。環礁に囲まれたこの島に対機甲ロケットを送り込み、中断していた滑走路改良事業を再開、防衛強化を急ぐ。

  シドニーのマッコーリー大学で安全保障問題・犯罪学部門を率い台湾の防衛政策を研究しているベン・シュリア教授は「中国が離島の1つを占領しようとしているという深刻な可能性がある」と述べ、「それが起きれば国際社会は何をするだろうか。米国はどうするだろうか」と問い掛けた。

Pratas Island

東沙諸島(2020年7月)

  中国軍機は昨年、台湾南部のADIZにそれまでの5年間の合計よりも多く侵入。中台が共に「一つの中国」に属するという考えを台湾の蔡英文総統が拒否していることを習近平政権は非難し、侵入をエスカレートさせている。これに危機感を抱く米国は台湾への武器売却を増やし、米台交流を強化した。

米国を間にし中台は70年余りにわたり戦争を回避してきたが、中台の軍事バランスが崩れつつある

  主に中国のマクロ経済・政治予測を行う独立系のエノド・エコノミクスは今年3月、米中軍事衝突の確率を65%に引き上げた。2019年1月は10%だった。「台湾への奇襲攻撃は可能だが、より特徴的な中国のアプローチは台湾の抵抗意志を損ね、自国の行動を遡及的に正当化することを見据えた威嚇の強化だ」とチーフエコノミスト、ダイアナ・チョイレバ氏は分析。「中国は現在、圧力を高める『グレーゾーン』作戦を通じた中台統一を実現しよう図っており、今後数年以内に人民解放軍が台湾海峡で米国に勝てるようになると信じている」と語った。

Why China’s Military Is Focused On Island 250 Miles From Taiwan

台湾国防部が示した中国軍機の飛行ルート(6月15日)

  中国軍機の侵入は中国沿海部からの戦力投射であり、潜在的な紛争地域に米軍を来させないというけん制でもある。中台紛争が勃発すれば、台湾に基地のない米軍は遠く離れた日本や韓国、グアムに置く基地から戦力の展開を図るだろう。