急成長する ゲームプラットフォーム 、 Roblox とは何か?:要点まとめ

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オンラインゲーム・プラットフォームのRoblox(ロブロックス)は今年3月の上場後初となる四半期で好業績を上げ、ゲーム開発メーカーというより、ゲーム制作プラットフォームとしての実力を証明した。実際、Robloxはユーザー生成ゲームプラットフォームの先駆者であり、今後はより広範なクリエイターエコノミーの基盤となる道を着実に歩んでいる。

RobloxのCEOを務めるデイヴィッド・バズッキ氏は同社の将来について、メタバース(デジタル上で現実世界を仮想化し再現した世界)の概念とからめて次のように語っている。「将来的には、メタバース的な世界観の新たなゲーム体験が、ユーザーのエンゲージメント、トランザクション、広告の力を借りてもたらされることになる。Robloxのプラットフォーム上では、いまでも多くのサービスがフリーミアムで利用可能だが、これからはサブスクリプション方式のサービスがもっと増えるだろう。当社は今後数年間で、最先端のゲーム体験を実現するための一連の機能をリリースする予定だ」。

すでに一部の広告主の関心を集めつつあるRobloxだが、その存在はまだ業界全体には知られていない。同社がいま、メディア・IT分野を席巻する有力企業とみなされているのはなぜか。その背景を探るべく、最新の業績データをおさらいしてみよう。

主要データ

  • Robloxのユーザーによるゲーム内仮想通貨(ロバックス)購入額は、今四半期中に161%伸びて6億5230万ドル(約712億円)に達した。アクティブユーザーの平均購入額は1人あたり1日15.48ドル(約1700円)と、前四半期から46%増加している。
  • Robloxのユーザー滞在時間は、年初から3カ月で合計97億時間にのぼった。参考までに、ゲーム実況配信のTwitch(ツイッチ)では、同じ3カ月間に過去最高の63億時間というユーザー滞在時間を記録している。
  • ユーザーのエンゲージメントに関してふたつのデータがある。アメリカ・カナダ以外の1日あたりアクティブユーザー数(DAU)が前年同期比で87%増、13歳以上のDAUが111%増と、大幅な伸びを示している。Robloxが子ども専用のプラットフォームではないことの証左だ。
  • Robloxで活動するゲーム制作者への対価であるデベロッパー・エクスチェンジ・フィーは今四半期、総額で前年同期比167%増の1億1890万ドル(約130億円)に達した。2018年には7200万ドル(約79億円)にすぎなかったフィー支払総額が、今年は5億ドル(約550億円)近くになる見込みだという。ゲーム制作で大金を稼げる可能性を示す数字で、Robloxがクリエイター経済で大きな役割を果たしているのもうなずける。
  • Robloxの2020年の売上高は9億2300万ドル(約1007億円)で、前年から82%増加した。
LONDON, UK - March 2021: Person holding a smartphone with Roblox game logo

LONDON, UK – March 2021: Person holding a smartphone with Roblox game logo

コロナ禍による巣ごもり消費のおかげか?

エンターテインメント分野におけるRobloxの大躍進にひと役かったのが、コロナ禍であることは間違いない。しかし同社の成長の勢いはいまだ衰えを見せておらず、4月のゲーム内仮想通貨購入額は前年同月比で約60%伸びる見通しだ。北米と欧州でワクチン接種が進み、子どもたちがゲーム以外の活動を再開しても、Robloxは好調を維持すると思われる。

どうやらRobloxは、プレイヤーのアップグレードや特殊機能の利用など、ユーザーがゲーム内課金をしたくなるような仕組みを確立しつつあるようだ。

ゲーム・エンターテインメント事業持ち株会社のサブネーション・メディア(Subnation Media)でチーフ・マネージング・ディレクターをつとめるダグ・スコット氏は次のように語っている。「仮想通貨、NFT(非代替性トークン)、アバター、没入型ゲーム体験などに深くかかわった人々がそれぞれデジタル世界のアイデンティティを確立すると、コミュニティができる。Robloxのようなプラットフォームは、そうしたコミュニティのよりどころとなる」。

マーケターが注目すべき理由

マーケターにとっては、単なる受動広告に代えて没入型体験へいざなう広告で訴求できれば、ビジネスチャンスが広がる。消費者のデジタルライフを後押しする企業のイメージを打ち出せるからだ。また、マーケターはRobloxから入手する情報により、ビデオゲーム業界全体の動向が把握できるようになる。

調査会社ニコ・パートナーズ(Niko Partners)によると、ビデオゲーム開発会社のエレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)では、プレミアムゲーム(開発と宣伝に巨額の予算を投じた大型タイトル)の売上構成比は事業全体の26%にすぎず、それ以外はライブ配信サービス、ダウンロード可能なコンテンツ、モバイルアプリ経由のアイテム課金による売上だという。一方、フランスのUbi(Ubisoft Entertainment)は、プレミアムゲームを年に3〜4タイトル発売していた従来の方針から転換し、今後は「基本プレイ無料のハイエンド・ゲーム」をリリースする計画だという。

この状況を別の角度から見てみよう。ゲーム開発大手は、制作費がかさむ大規模ゲームの扱いに苦慮している。そこで各社は代替のビジネスモデルとして、広告、サブスクリプション、アイテム課金などで確保した資金で基本プレイ無料のゲームを開発・提供する道を探っている。実のところ、Roblox上で人気のゲームの大半は無料で楽しめる。Robloxの主な収益源は、ゲーム内で消費される仮想通貨にかかる30%の税金の一部と、サブスクリプションサービスであるRobloxプレミアム(Roblux Premium)の収入だ。加えて、パートナー企業との提携にもとづく収入もある。

たとえば、玩具メーカーのハズブロ(Hasbro)はRoblox上のゲームにヒントを得た商品として、トイガンであるナーフ・ブラスター(NERF blaster)とボードゲームのモノポリー(Monopoly)の最新版を今年中に発売予定だ。また、年末までにはRoblox上でNERFブランドのゲーム体験提供を始めるという。

Robloxを取り巻くリスクは?

めざましい成長を遂げているこのプラットフォームにもリスクはある。13歳以上のユーザー向けゲームが増えてきたとはいえ、熱心なファン層の中心はもっと幼い、目移りしやすい子どもたちだ。そんな気まぐれなユーザーの興味を惹きつけるプラットフォームでありつづけることが、Robloxにとって最大の課題になるだろう。

また、不適切なコンテンツの規制も忘れてはならない。子どもたちの安全を守るため、Roblox経営陣は厳格な基準を設けてプラットフォームを運営する必要がある。うまく対応できなければ、同社の評判にかかわる事態を招きかねないからだ。

[原文:Cheat Sheet: Why Roblox is fast becoming one of the most important media businesses of the future

SEB JOSEPH(翻訳:SI Japan、編集:分島 翔平)
Illustration by IVY LIU